リビルドワールド | 作者: 非公開
あとがき
おすすめ 小説 の紹介文に、あとがきが必要かと、スレンダーな担当の女性に尋ねてみた。すると「何でもいいので、読み終えた後の感想でもネタバレなしで書いておいてください」と、笑顔で返されたので少しだけ気分がいい。
……まあ、そういうことだ。
ざっと読んでみて最初に思ったのが、推敲前だけあって地の分が少々読み進めにくい。と、いったところだろうか。
しかしそれも、ストーリーを追いはじめると途端にどうでも良くなった。脳内で勝手に補完されていくかのようにスラスラと読めるのだ。これには、驚いた。
主人公のアキラ、くんは、いわゆるスラム生まれのスラム育ち。私の子供の頃と同じだと思った。あの国の当時は、酷い有様で、スラムがそこら中にあった。そんな中で生まれた。
私にはけれど、十代のうちは住み慣れたスラムから外に出ようとは思えなかった。力はない、知恵もない、いつも乱暴な大人たちに顎でこき使われて、生きるか死ぬかギリギリの食べ物をもらって、言われるままに動かされていた。
そんなだったから少しだけ、このアキラ少年が羨ましく感じた。
自ら踏み出したことで、出逢いがあった。その出逢いがきっかけとなり、次から次へと出逢いが連鎖していく。……そのほとんどが美人の女性というところに少しだけラノベだなと思うが、まあ、その方が読者やらに受けるだろうと思っている出版関係の人には覚えがいいだろう。そう、思った。
サポートしてくれる人?を得て、心配してくれる人ができて、共に戦う仲間が増え、そうして護るべき連中を得た。都市部のお偉い人の目にもとまり、片や「無理無茶無謀」を求められて、片や利益優先でいろいろと手を貸して来る。
戦闘に関して言えば、どうなのだろう……。
実際に銃などを手にしたことはないのだし、ここでそれについて書くのはお門違いな気がしてならない。描かれる世界の銃火器はとても信頼性が高くてすごいなと、本の少しだけそう思ったくらいだろうか。
旧領域と呼ばれる、滅んだ文明の残骸。しかし残された人類から見れば、その残骸は宝の山。洗練され高度に発達したヒューマンインターフェースの有様もそうだが、人工知能と思われる存在の判断力と決断、ネットワークの力強さ、そのネットワークすら妨害する霧。
荒野と呼ばれる世界を闊歩する、旧文明のモンスター。巡回するセキュリティ装置のひとつをとっても普通人には脅威にしか思えない。そんなモンスターに対応するために造られた、あらたな人類たちの科学の結晶。その中心には旧世界のテクノロジーが秘められていたりするのだが……
その世界観にうっとりとしてしまう。なんと、力強く、そして温故知新と可能性に満ちた世界なのだろうかと……
気がつけばうっとりとしたまま、夜がふけていったわけで……
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