あとがき
おすすめ 小説 の紹介文なのに、あとがきが必要と言われた。目つきが鋭い担当の女性に睨みつけられるように。「何でもいいので、読み終えた後の感想をネタバレなしで書いてください」と、意外に可愛い声で。
……まあ、書かないと帰れなさそうだったので仕方がない
そう考えて二本目のおすすめ作品を手に取り、読み進めていく。
今度の作品はのっけから、嫌に大人な感じの恋愛を描いてるのね、と。
正直私はここ数年、恋愛らしい恋愛をしたことがない。学業とバイトで精一杯で恋したとかフラれたとか、やってる暇なんかないんだってこと。
でも、好きな人はいる。そして、この作品に出てくるような男じゃあない。くそっ。
まったく世の中にはペラペラと口から生まれてきたのかいって言いたくなるような男も多いっていうのに、そういった奴らはヘタレがほとんどだから自分から言ってきたりはいないだろうし。かと思うと中間が無くて、一気にぶっきらぼうか乱暴な言葉しか使えない阿呆ばかりだ。
ちなみに私の好きな人は、この阿呆に入る。とんでもなく、阿呆……。
ま、もとより先輩とこの作品に出てくるような関係になれるなんて思ってもいないのだが、でもそっか。なかなかなびきそうもない雰囲気で責めれば、相手の野生を呼び起こせるのかもしれないってことなのね。
読んでそんなふうに思った。
正直なところ、あの先輩からは野性的な素因を良く感じる。
例えば、ちょっとヤバい系の仕事をしていらっしゃいそうなお客様が、外に並ぶ列を素通りして店内に入ってきて、「撮影いいですか?」なんて言ったとき、
普通なら「どこの局の何の撮影かな?」とか、「あの番組かな?それともあれの番組?」や、「T〇KIO?ナガセいる?なんだ、リーダーか」なんてことを考えるものじゃないのだろうか。
なのにあの先輩ときたら、入ってきた派手目の服の人の前に立ちはだかって、開口一番に「列」とだけ。その時のあの派手な服着た人の表情ったら、今思い出しても笑える。
あれは野生で鷹が水面を蹴るときの雰囲気だった。……見たことないけど。
そうした野生を匂わせる先輩なら、この作品のヒロインのように、突き放すように対峙したらいいのかもしれない。
……うん、たぶん違うな。
たぶんだけど、何もかも全部間違えているような気がしてきた。
おかしいな、二回読んだのに……もう一回読んでみるか?
と、こうして、夜がふけていったわけで……
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