心の理屈 第弐夜

ひとりよがりの幼い心

唯我独尊

唯我独尊であるということ

 学歴があろうとなかろうと、財産があろうとなかろうと、地位が高かろうと低かろうと、それらはすべて人が形作ったシステムの中で評価される尊さでしかありません。そもそもの学歴をはかる試験も、財産をかたちづくる貨幣という価値も、ましてや地位などは周りにいる人の評価で決まるものでしかなく、それをよりどころにしてしまえば足元が常に不安定になってしまうものだろうと思われます。

 この世に生をうけたその時から命はどれほど尊いものなのか。多くの生命が、生まれてから大人になるまでの間に、他の生命に食べられてしまったり、不慮の事故などで失われてしまいます。そんな現実の世の中で、生きているということ。それが尊ばれるのはあたりまえに理解できる話だと思います。

 生きている、ただそれだけでその命は尊い。それが、唯我独尊。けっしてこの世界でただ自分だけが尊い、ではないことをまずは理解して話をすすめたいと思います。

唯我独尊

ひとりよがりの幼い心

 幼い心は、不安や恐れにとても敏感です。不安や恐れの多くは、無知ゆえに感じるものが多くあります。

 ミツバチを見て恐れを感じる子供は、ミツバチがめったなことでは人を刺さないということや、ミツバチに刺されても絶命するほどの毒はないということなどを理解していません。

 また逆に、無駄に知識を得すぎたゆえに不安や恐れを多く抱く人もいます。

 世界中にある核兵器の数や、そこらじゅうにある地盤の断層、未知のウィルス、日々地球へと飛来する彗星、根治不可能な病気とその病原体。こういったものは、それを知り対処しうる人がより詳しく知識を求めるには問題がないものなのでしょうが、対処の仕方もわからずに知識だけを得てしまえば、無駄に不安や恐れを抱かせるものでしかなく、せいぜい他人に話してその場での関心をかうくらいにしか役に立ちません。

 幼い心はひとりよがりなので、そうしたところも理解できず、いたずらに興味を引く知識ばかりに振り回されてしまい、結果として不安定なことが多いかと思われます。

唯我独尊とひとりよがり

 個々の命はどれも比べようもないほどに尊い。

 これが「唯我独尊」の本当の意味なのですが、ひとりよがりの人はこの言葉を自分一人が特別ととらえます。自分だけが特別なので、自分以外はとるに足りない存在として見ています。

 自分自身を尊い存在だと思えるのであれば、同じように生まれた命もまた同じように尊い。そう考えきれないからこそ「ひとりよがり」なんでしょうね。

 これは個であらわれるうちは、ひとりよがりで幼いなあですむ話なのですが、そうした人の数が多くなり集団になると、今度は笑い話にもならなくなります。

 自分たちの思想や信念だけが尊いと言い出しているような集団には注意が必要です。なんでかは、ここで語らずとも多くの人々が知識として知っているはずですので割愛させていただきます。

愛は心でつかまえよう。

 愛という言葉は、これもまた言葉だけでいろいろなところで変化して使われていますね。そもそも愛って、なんでしょう。

「愛についてもっとよく知りたいなら、あなたが嫌いな誰かを好きになることから始めたほうが良い」
「お互いのことを知り過ぎるほどよく知っている、小さなおじいさんとおばあさんが、まだ友達みたいに仲良しなこと。愛ってこんな感じ」
「あなたを愛している誰かがあなたの名前を呼ぶ時、ちょっと感覚が違ってくるんだ。あなたもその人に名前を呼ばれると、心が “ホッ” と温かくなるはず」

 これらは、ネット上で見つけた4歳から8歳くらいの子供に「愛」とはなにかと質問して返された答えだそうです。本当に子供たちがこう答えたかどうかの真意はおいといて、しかし愛というものについてよく言い表した言葉だなと思います。

 愛は、心でつかまえよう。策略や小手先のものなんかじゃなくて、ですね。

心があるから愛は生まれる?

 心の定義を確認してみましょう。

こころ
【心】
1.体に対し(しかも体の中に宿るものとしての)知識・感情・意志などの精神的な働きのもとになると見られているもの。また、その働き。 「―ここにあらず」(うわのそらだ)
2.事物の内にこもっていて、それの価値のもとになるようなもの。

 辞書にはこんな感じで書かれています。しかしこれでは、なんだかここで語ってきたものとズレがあるような気がします。まるで何かのエネルギーみたいで、さもなければ心霊的な何かのよう、これじゃ。

こころ
【心】
1.感情から生まれ、知識や体験をとおして成長していき、やがて愛をみつけるもの。また、その働き。 「―ここにあらず」(うわのそらだ)
2.愛を見つけた後、自らも愛を生み出していくもの。その土台。

 とりあえず、こうしておいて第二夜の締めとさせていただきます。