穏人の見る風景

穏人の見る風景 平和の景色 10月間近な頃になって、ようやく日本へと帰り着いた。とにかく暑い。それはそうだ、昨日の夜まではほとんど北極にいたんだから。アメリカだけかと思ったら、車で国境を越えてカナダへと移動し、タカツキさ

鬼と書かないオニの話し

鬼と書かないオニの話し 平和の景色 最初はアルバイトとして入った会社なんだが、気がつけば3年が過ぎていた。所長さんと事務さん、そして直接の上司にあたるタカツキさんはキレッキレで恐ろしくかっこ良い。今年の3月が過ぎたころに

穏やかなる人 7

お盆が過ぎて、暑さが少し和らいだ頃、突然シンが家にやってきた。雷雨の中傘をさし、あいかわらずの白いスーツで現れたシンは、家にいた父さんと母さんにとんでもない事を言いはじめた。…

穏やかなる人 6

俺と斎藤は、海岸線を南に歩きながら、岩場の影にたどりついた。目の前には、青い海と白い雲。耳をすませば、岩場の向こうから観光客のはしゃぐ声が聞こえる。空を舞う、一羽の変わり者…。…

穏やかなる人 5

「あんたって子は、言いたいことがあるのならちゃんと言いなさい!」かあさんが怒っている。何を怒っているのか、俺にはわからない…。「なによ、その顔は!いい加減にしないと、本気で怒るわよ!」…

穏やかなる人 4

「暑いったらないわね!なんなのよ、この暑さは!!」私の名前は、大束 みちよ。26歳 フリーのルポライター。とは言っても、自称のようなもので、今だ何の記事も世に出ていない…。今年こそはと思い…

穏やかなる人 3

…あれ?みいこ、さんだっけ… イチコさんの所から戻り、倉庫から店の中へと、商品の棚だしを行っていると、不審な動きをするみいこさんを目撃した。なんだか、食品棚の奥の方に手を突っ込んでは…

穏やかなる人 2

翌朝起きると、僕は昨日のモヤモヤが嘘だったかのようにすっきりしていた。昨日休みだと言われたが、慣れた体は素直に休んではくれない。いつもどおり仕事の時間に目が覚めて、いつもどおり食堂へと…

穏やかなる人 1

暑い…。まだ六月だってのに、なんだこの暑さは。僕はこの湖畔でこの夏いっぱいのアルバイトに来た。大学でいろいろと面倒な人間関係ができてしまい、逃げて来たというわけだ。…それと、色々…。冷房…

遠き昔の平和の景色

遠き昔の平和の景色 平和の景色 朝起きるとすでに起きて朝食の用意をしている家族がいて、あと五分と思いながら寝過ごす。出がけに玄関前で忘れ物はないかと家族に問われ、大丈夫かなと不安に思いつつも急いでいるのを優先して駆け出し

十字の船と左のかけら

ぼくらはいつだって、見つからない最後の一片を探し求めて生きているんだ。 南十字星が頭上に輝く小さな小さな星にぼくらは住んでいた。歩いてもほんの数日で一周できちゃうくらいだから、どれだけ小さなところに住んでいたのかわかるだ