どうやら 私の身体は完全無敵 のようですね | 作者: ちゃつふさ
あとがき
おすすめ小説の紹介文に、何をあとがきとして書けばいいのだ?
席にいた若いお兄さんにそう尋ねたら、「何でもいいので、読み終えた後の感想でもネタバレなしで書いておいてくださいとのことです」と指示をもらえた。
……まあ、いろいろと制約はありそうだが、読後感想文的なものでいいのか、と理解して筆をとることにする。
なのである。
物語の最初の章を読んでの感想なのだが、実はわたくし事で少々恥ずかし話だが、昨年の暮れに子が生まれた。かなり歳をとってからの子であったので、妻と二人で散々に甘やかして育てている。今まさにそんな時に、といった話だったのである。
うちの子はまだ一歳にもならないのだが、これが三歳くらいになると、こんなにもこまっしゃくれたことを言いだすのか、などと感嘆しつつ読み進めてみたり、幼いのに優しい子じゃ!と喜々としてしまったり、とにかく忙しい。
はじめての友達がメイドであったり、その辺りも参考になる。なにせ我が家は年よりしかおらんので、友達をどうしようかといつも妻と相談し合っていた。そうか、家政婦さんか……。そうして方々に問合せをして、どこも未成年者を派遣できるところなどないと理解した。
……少し考えればわかりそうなものである。
と、ちょっとばかし現実的ではないところも描かれてはいるが、概ね子育ての参考書としては問題ないのではないだろうか。それも特に、少々歳を重ね過ぎてからの子供となると、大変なことばかりだ。
生まれたての子を養護施設から引き取り、我が子として育てたいと、妻がそう言いだしてから既に数年が過ぎていた。その間私は、収入を得るために奔走することで精一杯であり、妻のその言葉をまともに聞いてこないでいた。
そのんな中で、妻の病気のことを知った
妻は、それでもしかし急にどうこうというわけではなく、だが寿命と呼ばれる年まではなかなか難しいらしい。
そんなわけで、わが家に娘が来た。生まれたのは養護施設を設ける都市部の大病院。実の母親は生活に困窮しており、赤ちゃんポストの使用を決断したという。
仕事ばかりで数年も妻の時間を無駄にさせてしまった私は、その連絡を受けて急ぎ養護施設へと向かった。
私の到着とちょうど時を同じくして、妻が病院にタクシーで駆けつけた。
そうしてふたりで、その子の顔を見た。
――なんだこの猿顔の生き物は?
おもわずそう言葉に出てしまった私の隣で、妻がそれは優しそうに、我が子となるその子の顔を覗きこんでいた。
その横顔を見て、思わず思い出してしまう。遠い昔、今となってはかすかな記憶でしかないが、出逢った頃の妻の微笑みを。あの優しい微笑みをたたえた彼女がそこに佇んでいる。
――この顔を、見れただけで後につづく苦労など屁でもないな
そんなことを考えていた。その猿顔の我が娘の前で。
そんなを思い出しつつ、あの我が娘のこれからを考えることがこの小説を読みながらできたような気がする。
ラノベはあくまでも作者のご都合主義が反映された、とかく荒唐無稽な物語が多いですからと、この仕事を受ける際に担当されている女史の方がおっしゃっていたような覚えがある。
とんでもない
荒唐無稽に見えるのは、表面的なところだけですよ。事細かにより深く行間を読み返せたなら、ラノベと区分けされた物語だとて、自分の人生や経験を投影し、そこに現実を見出すことはできそうですよ。
そんなことを想いつつ、このあとがきを締めくくろう。
……こうして、私の夜もふけていくわけで……
チート(ちょっと)待て = ちょ、まてよ!
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